日本赤十字社の誕生のきっかけになった戦争とは

ユニセフ

1.日本赤十字社の由来

赤十字といえば、まず赤い十字を思い出す方が多いでしょう。
赤い十字のシンボルマークは、赤十字を創立した実業家アンリ・デュナンがスイス人だったため、スイス国旗の地の赤と白をひっくり返したデザインになっているのです。

十字のマークからキリスト教系の組織と思いがちですが、赤十字は政治や宗教的に関係なく、中立の立場で事業活動を展開する人道機関です。
赤十字の基本原則は人道と公平、中立、独立と奉仕、そして世界性の7つです。

敵と味方、宗教や思想などに一切関係なく傷ついた人を助け、支援しています。
世界186カ国もの、幅広いネットワークをもつのです。

「赤十字の父」と呼ばれるデュナンは、1859年にイタリア統一戦争の激戦地ソルフェリーノで戦場の悲惨な様子を目の当たりにします。
デュナンはすぐさま町の人々と協力して、負傷者の救護活動を行います。

傷ついた兵士は兵士ではなく人間である。
人間同士として、命は救わなければならないという信念をもつのです。

この経験からデュナンは「ソルフェリーノの思い出」という本を出版します。
その本で戦場の負傷者を敵味方の区別なく救護すること、そのための救護団体を各国が組織すること、この目的を実現するために国際的な条約を締結することを訴えます。

この主張はヨーロッパの各国で反響を呼び、1864年にはヨーロッパ16カ国の外交会議でジュネーブ条約(赤十字条約)が調印され、国際赤十字が誕生するのです。

2.西郷隆盛の薩摩軍と政府軍が戦った西南戦争が誕生のきっかけ

そして日本赤十字社の誕生も、戦争がきっかけになるのです。
その戦争とは1877年(明治10年)2月に発生した日本最後の内乱、西郷隆盛の薩摩軍と政府軍が戦った西南戦争です。

佐賀藩士であり政治家の佐野常民はヨーロッパを歴訪し、敵と味方の区別なく負傷者を助ける赤十字の活動を知るのです。
西南戦争では政府軍と薩摩軍は多くの死傷者を出していました。

佐野常民は分け隔てない負傷者の救護の必要性を痛感し、ヨーロッパと同じような救護団体を作りたいと考えます。
佐野常民は華族で政治家の大給恒(おぎゅうゆずる)とともに、政府に救護団体である博愛社設立を願い出ますが不許可になるのです。

戦地に放置されている多くの負傷者を一刻でも早く救うためにと、1877年5月に佐野常民は熊本の司令部に赴き、征討総督の有栖川宮熾仁親王に、直接、博愛社設立の趣意書を差し出します。

親王からの許可を得て、博愛社の救護員が戦地に向かい両軍の救護活動を開始、日本赤十字の前身となる博愛社が誕生するのです。
1887年(明治20年)には、博愛社から日本赤十字社と改称し、9月には国際赤十字に加盟することとなるのです。

3.多くの現場で人道活動を行っている日本赤十字社

日本赤十字社は設立以来、多くの現場で人道活動を行っています。
1894年(明治27年)の日清戦争や、1900年(明治33年)の義和団の乱でも救護活動を行っていたのです。

日清戦争の際には、清国がジュネーブ条約を承認していなかったため赤十字のマークが狙って攻撃され、多くの方が命を落としています。
敵味方の区別なく人を救う行為は多くの命を助けますが、ときには過酷なものとなります。

第二次大戦では、多くの日本赤十字の救護看護婦が戦地に赴いていました。
国内だけでなく中国大陸や東南アジアまで、兵士や一般人の救護にもあたっていたのです。

危険が伴なうのは戦地だけではありません、天災などの自然災害の現場での救護活動も過酷です。
1888年(明治21年)の磐梯山の噴火でも救護活動、1890年(明治23年)には、和歌山県沖で遭難し500名以上の犠牲者が出たオスマン帝国特派軍艦エルトゥールル号遭難事件でも救護班を派遣しています。

近年の阪神淡路大震災や東日本大震災でも、救護班の派遣や救援物質の輸送など、幅広く被災者救援活動をおこなっています。
救援活動に必要な物資や医薬品、スタッフの派遣費用や事務などにかかる経費は、義援金ではなく、赤十字の事業に賛同する会員や個人、法人などから寄せられた年間500円以上の活動資金から賄われているのです。

4.日本赤十字社が行っている9つの事業とは?

現在の日本赤十字社は、主に9つの事業をおこなっています。
まず駅などで見かける、献血センターなどの血液事業があります。

輸血が必要な患者のために、血液製剤を24時間医療機関に届けているのです。
看護大学を運営して質の高い看護教育による看護師を育成、高い医療サービスを提供する公的医療機関の赤十字病院でお世話になっている方も多いでしょう。

子供や高齢者、そして障害者のための福祉サービスを向上させる社会福祉、子供の考える力を育む青少年赤十字の活動、いざという緊急時に役立つ救護法などの講習も実施しています。

国内で地震や台風などの災害が発生したときには、医療救護活動を行う国内災害救護を派遣します。
海外の大規模な災害や紛争時には救護と復興支援をおこなう国際活動、世界中で人道支援のための救護活動を提供する赤十字ボランティアもおこなっています。

赤十字の基本原則である、人道と公平、中立、独立と奉仕、そして世界性の7つも基づき、分け隔てることなく、多くの人を救っているのです。

 

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